ラブホテルや売春宿の幽霊を科学で解明!「心霊現象」の噂がある4施設の調査結果は?

ラブホテルや売春宿の幽霊を科学で解明!「心霊現象」の噂がある4施設の調査結果は? 怪奇
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誰もいないはずの階から聞こえる足音、突然漂うタバコの匂い、ひとりでに開くドア、ベッドのそばに立つ人影。世界には、こうした現象が何十年も語り継がれているホテルや売春宿がある。多くは怪談として消費されるが、中には測定機器を建物へ持ち込み、本当に異常が起きているのかを確かめようとした調査も存在する。調べてみると、幽霊の仕業と思われていた現象の原因が建物の構造や周囲の環境から見つかることがある一方、調査者が最後まで原因を特定できなかったケースもあった。

では、心霊現象を「測る」とはどういうことなのか。売春宿として使われてきた建物を含む海外4施設の調査から、その実態を見ていこう。

心霊現象を「測る」ゴーストバスターたち

映画『ゴーストバスターズ』では、特殊な装置を背負った主人公たちが幽霊そのものを捕獲する。しかし現実世界で「超常現象調査員(paranormal investigator)」や「ゴーストハンター(ghost hunter)」と呼ばれる人々が行う調査は、一般にもっと地味である。まず建物の利用者や目撃者から証言を集め、現象が報告された時間帯や場所を特定し、そこで温度、電磁場、気流、湿度、音、振動などを測定する。夜間撮影には赤外線カメラや暗視カメラが使われ、誰もいない場所から声が録音されるという「電子音声現象(EVP)」を調べるためにデジタル録音機を設置する場合もある。

ただし、使用する道具が科学機器だからといって、調査そのものが科学的に正しいとは限らない。電磁場測定器が反応した場合でも、配線、冷蔵庫、空調設備、携帯電話などの影響を排除しなければ、その変化を異常現象とは呼べない。録音された声のような音についても、人間の会話、道路交通、配管、建物の軋みなどを検討する必要がある。

2020年に心理学の学術誌『フロンティアズ・イン・サイコロジー(Frontiers in Psychology)』へ掲載されたレビューでは、いわゆる「幽霊屋敷」における異常体験と環境要因との関係を調べた過去約20年間の66研究が検討された。対象となったのは照明、空気環境、温度、超低周波音、電磁場、建物そのものが与える視覚的・心理的手掛かりなどである。しかし、結果には一貫性が乏しく、「特定の環境要因が幽霊体験を引き起こす」と断定できる状態にはない。したがって、現代の心霊調査で意味を持つのは、幽霊を検出することよりも、まず通常の原因を一つずつ排除していく作業だと考えたほうがよい。

「出る」と噂された4施設を実際に調べる

現役売春施設を調査――ニュージーランド・オークランド

2013年、ニュージーランドの超常現象調査団体「ホーンテッド・オークランド(Haunted Auckland)」に、オークランド中心部にある売春施設から調査依頼が持ち込まれた。施設名は関係者のプライバシー保護のため公表されていないが、この建物では以前から性風俗営業が行われており、当時は新しい経営者のもとで改装を進め、営業再開を予定していた。建物の中央階が売春施設として利用され、地下にはバーがあった。

施設では以前からさまざまな奇妙な出来事が語られていた。照明が突然消える、施錠したはずの扉が開く、誰もいない場所から大きな音がする、タバコやウイスキーの匂いが漂う、特定の部屋で強い存在感を覚える、といった報告である。従業員の中には、建物に「怒った男」のような存在を感じ、その場所で働くことを嫌がる女性もいたという。また、電気設備について専門業者に相談しても、一部の不具合については原因が特定できなかったとされる。

ホーンテッド・オークランドの調査員5人は建物を一室ずつ回り、一晩のうちに3回、電磁場と温度を測定した。さらに経営者らへの聞き取り、数百枚の写真撮影、数時間に及ぶ映像と音声の記録、電子音声現象の録音、物を所定の位置に置いて動くかを確かめるテストなどを行った。

結果を見ると、報告されていた現象の一部には比較的明瞭な説明がついた。電磁場の変動が確認された場所にはヒートポンプや冷蔵庫などの電気機器があり、温度差も開いた窓、換気口、空調設備、外気、人の体温などの影響を受けていた。建物内に突然漂うとされたタバコの煙については、階下のバーの喫煙場所から煙が上がり、トイレの窓を通じて上階へ入り込んでいたことが分かった。また、階下のクラブの音楽や人の動きも建物内部へかなり伝わっていた。

写真と映像には特筆すべき異常は見つからなかった。録音では電子音声現象とも解釈できる短い音声が一件あり、無人時に置いたトランプが倒れる出来事も記録されたが、いずれも再現できなかった。調査責任者のマーク・ウォールバンク(Mark Wallbank)は、より厳密に検証するには建物全体を無人にし、電源も落とした状態で再調査する必要があるとしたうえで、現段階では、この場所が幽霊に取り憑かれているとは考えていないという結論を示している。

元売春宿の「船員の幽霊」――オーストラリア・ラッセル・ホテル

オーストラリア・シドニーのザ・ロックス地区にあったラッセル・ホテル(Russell Hotel)も、長く幽霊ホテルとして知られてきた。現在の建物は1887年にポート・ジャクソン・ホテルとして建設され、その後ラッセル・ホテルとなった。ザ・ロックスの公式観光情報では、建物は歴史の中で病院、船員向け宿泊施設、さらに非公式な売春宿として使われた時期があったとされている。

とりわけ有名なのが8号室にまつわる話である。伝説では、ここで船員の男性がセックスワーカーの女性に殺され、その後、男性の幽霊が現れるようになったとされる。宿泊客からはベッド脇に立つ船員らしき人影や、廊下を歩いて消える人物の目撃談があり、従業員からも、誰もいない廊下を歩くような音、勝手に開閉するドア、突然の冷気、見られているような感覚などが報告されてきた。ただし、殺人そのものについて確実な一次史料が提示されているわけではなく、歴史的事実というよりホテルに付随する伝承として扱う必要がある。

2013年2月、ホーンテッド・オークランドとオーストラリアの超常現象調査団体「アイドロン・パラノーマル(Eidolon Paranormal)」がホテルに宿泊し、一晩の調査を実施した。暗視カメラ、可視光以外の波長も記録できるフルスペクトルカメラ、録音機、電磁場と温度を測定できるメルメーター(Mel Meter)などを使い、室内の映像、音声、環境値を記録した。測定された電磁場は大半が0.0で最大でも0.3程度、温度もおおむね25.5~25.6度の範囲に収まり、大きな変化は確認されなかった。

調査を難しくしたのは、ホテルの立地と建物そのものだった。シドニー中心部に位置するため、夜間も自動車、歩行者、犬、酔客、道路清掃車などの音が続き、さらにほかの宿泊客が古い廊下を歩けば床が軋む。通行車両の振動も建物へ伝わっていた。調査団は録音された異音の多くについて、こうした通常の環境要因で説明できると判断し、その夜に自分たちが幽霊または超常現象とみなせるものは経験しなかったと報告している。

有名な8号室には当日別の宿泊客がいたため、十分な調査ができなかったという制約は残った。それでもこの事例は、都市部の古いホテルで「誰もいない場所から聞こえる音」を検証する場合、交通や宿泊客、建物の振動といった背景要因をどこまで排除できるかが大きな問題になることを示している。

約1万時間に及ぶ調査――アメリカ・ホテル・デル・コロナド

カリフォルニア州コロナドに建つホテル・デル・コロナド(Hotel del Coronado)は、今回取り上げる中では唯一、性風俗施設としての歴史を持たない。しかし、ホテルにおける心霊調査としては規模が大きく、比較対象として重要である。ホテルは1888年に開業した巨大リゾート施設で、現在は米国の歴史的ランドマークにも指定されている。

幽霊伝説の中心となったのは、1892年に宿泊したケイト・モーガン(Kate Morgan)という若い女性である。モーガンは11月に一人でホテルに宿泊し、5日後の11月29日、海岸へ降りるホテル外部の階段付近で頭部に銃創を負って死亡しているのが発見された。検視では自殺と判断された。その後、彼女の宿泊した部屋や周辺では、照明やテレビが勝手に作動する、原因不明の風や匂いを感じる、物が移動する、ドアや窓が開閉する、局所的に温度が変化する、声や足音が聞こえるといった現象が宿泊客や従業員から報告されるようになった。

1992年、ホテルは超心理学者・異常現象調査家のクリストファー・チャコン(Christopher Chacon)に本格的な調査を依頼した。ホテル側の公式記録によれば、調査は約12か月、24時間体制で実施され、現地での調査時間は合計約1万時間に達したという。温度、静電気、気流、空気成分、電磁場・地磁気、放射線、振動、気圧、湿度、光などを測定し、移動式研究設備からの遠隔監視も行った。また、宿泊客、従業員、訪問者、作業員など約1100人への聞き取りが行われ、その半数は異常体験を報告した人物、残る半数は無作為に選ばれた人物だったとされる。

1993年の米紙『ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)』もこの調査を取材している。チャコンらは赤外線カメラのほか、磁場、湿度、温度などを測る機器を使用し、ある客室では24時間に37件の「異常」を記録した一方、別の幽霊部屋では同様の現象を記録できなかったという。ホテル側の記録では、長期調査を経ても、家具の移動、ドアや窓の開閉、蛇口の作動、局所的な冷気、声や足音などの中に、調査者が通常の原因を特定できなかったケースが残ったとされる。

ただし、この調査を「幽霊の科学的証明」と呼ぶことはできない。詳細な生データや「異常」の判定基準が査読付き学術論文として公開され、第三者によって再現された研究ではないからである。ホテル・デル・コロナドの事例が示しているのは、長期間にわたり通常の環境要因を測定しても、調査者が原因を特定できない出来事が残る場合があるということまでである。

92年間営業した売春宿――アメリカ・デュマ・ブロッセル

米モンタナ州ビュートのデュマ・ブロッセル(Dumas Brothel)は、今回の4施設の中で最も明確に性産業そのものを目的として使われてきた建物である。1890年に建設され、1982年まで売春宿として営業した。施設側は、米国史上もっとも長期間継続して営業した売春宿と説明している。鉱山で繁栄したビュートの歓楽街に位置し、営業範囲は2階から1階、地下へと拡大した。現在は歴史的施設として保存され、見学ツアーのほか、夜間の超常現象調査も開催されている。

建物では、無人の階段を歩くような音、男女の声、人影、局所的な冷気、物が動くといった現象が報告されている。これらは、かつてそこで働いた女性や売春宿を訪れた鉱山労働者が今も建物に残っているという伝承と結び付けられてきた。

デュマ・ブロッセルでは複数の民間団体が調査を行っている。たとえば2022年に「チリング・パラノーマル(Chilling Paranormal)」が実施した夜間調査では、午後8時30分から翌午前3時まで施設を使用し、電磁場測定器、電子音声現象用の録音機、電磁場の変化などに反応するREMポッド、デジタルカメラ、ラジオ周波数を高速で切り替えて音声を拾う「スピリット・ボックス」、フルスペクトルカメラなどを用いた。2024年にも夜間の公開調査が実施されている。ただし、これらは大学などが管理した科学実験ではなく、スピリット・ボックスやREMポッドの反応を霊の存在と関連づける方法についても科学的な合意はない。

一方、この施設には怪現象を通常の原因に戻した例もある。公式サイトには地下室などで撮影された写真に青い円形の「オーブ」が写ることがあると記載されているが、施設側はこれを幽霊とは考えていない。スマートフォンのカメラと頭上の照明の位置関係によって生じる光学的な現象であり、同様の条件で再現可能だと説明している。また、2022年に現地メディアの記者が施設を調べた際にも、超自然的と判断できる現象は確認されず、カメラにも異常は記録されなかった。

幽霊で知られる施設そのものが、一部の「証拠」を超常現象ではないと説明している点は興味深い。心霊スポットとしての評判を守るためなら曖昧にしておくこともできるはずだが、少なくともこのオーブについては、通常の光学現象として扱われている。

売春宿やホテルの心霊現象を調べると何が見えてくるのか

心霊現象を科学的に調べる際に難しいのは、「奇妙な出来事が起きた」ということと、「その原因が幽霊である」ということの間に大きな隔たりがある点だ。本人が確かに人影を見たり、声を聞いたり、何らかの違和感を覚えたりしたとしても、その経験が何によって生じたのかは別に検討しなければならない。建物の構造、周囲の騒音、空調や電気設備、光の反射といった物理的条件だけでなく、疲労や緊張、その場所について事前に得た知識までが体験の受け止め方に影響する可能性がある。

2020年に発表された「幽霊屋敷」に関する研究レビューでも、温度、電磁場、超低周波音などの単一の環境要因だけで異常体験を説明できるという一貫した証拠は得られていない。一方、建物の雰囲気や歴史についての知識、そこで何かが起こるかもしれないという期待など、複数の要因を考える必要性が指摘されている。心霊体験は、外部の刺激をそのまま受け取った結果というより、実際の環境と人間の知覚や解釈とが組み合わさって成立する現象として考えたほうが理解しやすい。

性風俗施設には、その解釈を方向づける独特の歴史的背景がある。古い売春宿には、そこで働いた女性や客についての記録や伝承が残りやすく、歓楽街、貧困、暴力、病気、恋愛などの物語とも結び付く。現在の利用者には、かつて同じ部屋を誰が使い、そこで何が起きたのか分からない。そのため曖昧な刺激に遭遇したとき、「誰かがいる」という感覚だけで終わらず、「昔ここで働いていた女性ではないか」「かつて訪れていた男性ではないか」という具体的な人物像が与えられやすい。

この点は、性風俗施設で報告される怪現象そのものが特別だという意味ではない。特徴が現れるのは、むしろ体験に与えられる意味のほうである。同じ足音や人影であっても、一般住宅なら以前の住人として語られ、古城なら歴史上の人物として語られ、売春宿ならそこで働いていた女性や客として語られる。心霊現象には、その場所の歴史を物語として再構成する働きも含まれていると考えられる。

だからこそ、心霊調査では「何が記録されたか」だけでなく、「なぜそれを幽霊と解釈したのか」まで調べる必要がある。温度計や電磁場測定器、カメラを持ち込むだけでは十分ではない。証言がいつ生まれたのか、目撃者は事前にどのような噂を知っていたのか、同じ現象を知らない人も経験するのか、通常の原因を排除した後にも再現するのか、といった条件をそろえて初めて検証に近づく。

この意味で、現実のゴーストバスターの役割は幽霊を探し出すこととは少し違う。超常現象という結論を急ぐのではなく、奇妙な出来事を通常の物理現象、建築環境、人間の知覚や記憶へと分解し、それでも説明できない部分がどこに残るのかを明らかにすることにある。

説明できない現象が残ったとしても、それだけで幽霊が証明されたことにはならない。しかし、説明できないから無意味なのでもない。何が分かり、何がまだ分からないのかを区別することこそが、怪談と調査を分ける境界なのである。

出典

Dagnallほか — Things That Go Bump in the Literature: An Environmental Appraisal of “Haunted Houses”
『Frontiers in Psychology』, 2020
https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2020.01328/full

マーク・ウォールバンク / Paranormal New Zealand — Undisclosed Innercity Brothel
Paranormal New Zealand, 2013
https://hauntedauckland.com/undisclosed-innercity-brothel/

マーク・ウォールバンク / Eidolon Paranormal — Russell Hotel, Sydney
Paranormal New Zealand, 2013
https://hauntedauckland.com/russell-hotel/

The Rocks — Bars, bones and bodies: eight of The Rocks’ most haunted sites
The Rocks
https://www.therocks.com/editorials/bars-bones-and-bodies

Hotel del Coronado — Paranormal Investigation
Hotel del Coronado
https://www.hoteldel.com/timeline/paranormal-investigation/

Hotel del Coronado — Ghostly Goings-On at the Hotel del Coronado
Hotel del Coronado
https://www.hoteldel.com/press/haunted-hotel-del-coronado/

Hotel del Coronado — History
Hotel del Coronado
https://www.hoteldel.com/history/

シャロン・ホイットリー — The Haunt of the Hotel Del
『Los Angeles Times』, 1993
https://www.latimes.com/archives/la-xpm-1993-01-03-tm-941-story.html

Dumas Brothel — Official Website
Dumas Brothel
https://dumasbrothel.com/

Dumas Brothel — Photos
Dumas Brothel
https://dumasbrothel.com/photos

Dumas Brothel — Upcoming Events
Dumas Brothel
https://dumasbrothel.com/upcoming-events

トミー・O — The Dumas Brothel: Butte’s Most Haunted Building?
Townsquare Media, 2022
https://925kaar.com/the-dumas-brothel-buttes-most-haunted-building/

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