「宇宙人にさらわれた」というアブダクションの体験談には、かなり早い時期から性や生殖に関する話が登場する。宇宙人のような存在と性交した、体を触られた、精子や卵子を採られた、妊娠させられた、胎児を取り出された――。1980年代以降には、こうした証言が「宇宙人が人間との混血を作っている」という大きな物語へと発展した。
それらが実際に宇宙人によって行われたことを示す医学的証拠は、現在まで確認されていない。しかし、証言者本人が強い恐怖や現実感を覚えていることは、心理学の実験でも確かめられている。また、性的アブダクションの証言がどのように生まれるのかについても、催眠、記憶の変化、睡眠麻痺などを手がかりとした研究が行われてきた。ここではまず、当事者たちが具体的に何をされたと語っているのかを見たうえで、それが科学の側からどのように検討されてきたのかをたどっていく。
裸の女性型宇宙人と性交した――アントニオ・ヴィラス=ボアス事件
性的なアブダクション事件として最も古く、後世への影響も大きいものの一つが、ブラジルのアントニオ・ヴィラス=ボアス事件である。1957年10月、当時23歳だったヴィラス=ボアスは、ブラジルの農場で夜中にトラクターを使って作業していた。本人によれば、強い光を放つ飛行物体が畑に降り、ヘルメットのようなものをかぶった小柄な存在たちにつかまれて、その内部へ連れて行かれた。
服を脱がされたヴィラス=ボアスは、全身に透明で粘り気のある液体を塗られた。その後、あご付近から装置を使って血液のようなものを採られ、別の部屋に一人で残されたという。壁から煙のようなものが出てきて激しい吐き気を催し、実際に吐いたとも話している。しばらくすると、裸の女性が部屋へ入ってきた。ヴィラス=ボアスによれば、その女性は基本的には人間に近い姿だったが、背が低く、非常に白い肌と明るい色の髪、大きくつり上がった青い目、高い頬骨、細い唇を持っていた。脇や陰部の毛は頭髪とは違って赤みを帯びていたとも証言している。
彼は、その女性が自分に近づくと強い性的興奮が起こり、そのまま性交したと語った。性交は一度ではなく二度だったとされる。女性は普通の人間の言葉を使わず、うなり声のような音を出し、キスをする代わりに彼のあごへかみつくような行動をしたという。ヴィラス=ボアス自身は、先に全身へ塗られた液体が性的な興奮を起こす薬のようなものだったのではないかと考えていた。
さらに奇妙なのは、女性が去る前の行動だった。彼女は自分の腹を指し、続いてヴィラス=ボアスを指し、最後に空を指した。彼はこれを、自分との性交によって子どもを作り、それを宇宙で育てるという意味だと受け取った。この部分は、後にアブダクション体験者たちが盛んに語るようになる「宇宙人が人間の生殖能力を利用している」という物語を、かなり早い段階で先取りしている。
ヴィラス=ボアスは1958年、ブラジルのUFO研究者らに詳しい証言を行い、医師オラヴォ・フォンテスも彼を診察した。皮膚の傷や体調不良なども報告されたが、それらが放射線や宇宙船によって生じたことが確認されたわけではない。性交を含め、宇宙船内部で起きたとされる出来事を目撃した第三者もいない。そのため、現在残っているのは、極めて詳しい本人の証言と、それに付随する身体症状の記録である。
「卵子を取られ、妊娠させられた」――デブラ・ジョーダン=カウブルの証言
性的アブダクションの内容が一気に複雑になったのは1980年代である。その中心人物の一人が、アメリカのUFO研究家バッド・ホプキンスだった。ホプキンスが1987年の著書『Intruders』で詳しく紹介したのが、「キャシー・デイヴィス」という仮名の女性である。後に本人はデブラ・ジョーダン=カウブルという本名を公表した。
彼女は、幼いころから何度も奇妙な体験をしていたと語っている。1983年には自宅近くに卵形の物体が現れたとされ、その後、ホプキンスによる催眠セッションを重ねるなかで、それ以前にも宇宙人のような存在から繰り返し身体を調べられていたという記憶を語るようになった。その内容には普通の身体検査だけでなく、婦人科の診察に似た処置が含まれていた。下半身を調べられ、女性器に器具を入れられ、卵子を取り出されたように感じたというのである。
さらにセッションが進むと、彼女は宇宙人によって妊娠させられ、その後、胎児を取り出されたという記憶まで語るようになった。普通の妊娠とは違い、ある時期まで妊娠しているように感じていたのに、その後突然その感覚が消えたとされる。この「妊娠したはずなのに胎児が消える」という話は、後のアブダクション証言にも繰り返し登場することになる。
彼女が特に強い感情を示したのが、その後の体験だった。1983年10月、宇宙船のような場所へ連れて行かれ、小さな女の子を見せられたという。その子は4歳ほどに見え、非常に白い肌をしており、頭は人間より大きく、目は大きな青色だった。髪は少なく、普通の人間の子どもとはどこか違っていた。彼女はその子を見た瞬間、自分の娘だと感じたと話している。実際にはその子を出産した記憶はないにもかかわらず、非常に強い母親としての感情が湧き、自分が産んではいないが自分の娘だと分かった、という趣旨の証言を残した。
ホプキンスはこうした証言を、宇宙人が女性から卵子を取り出し、人間と宇宙人の特徴を合わせた子どもを作っている可能性を示すものと考えた。その後も、「卵子を採られた」「妊娠していたはずなのに胎児がいなくなった」「宇宙船で自分の子どもらしい存在を見せられた」という体験談を集め、生殖実験説を発展させていった。ただし、ジョーダン=カウブルについて、医療機関が妊娠を確認した後に原因不明で胎児が消失したことを示す医学記録が公表されているわけではない。体験者本人の詳しい証言は存在するが、妊娠や胎児の回収そのものが医学的に確認された事件ではない。
精子を採られる男性、卵子を採られる女性
ホプキンスの後、性的なアブダクションをさらに細かく分類した人物が、テンプル大学で歴史学を教えていたデイヴィッド・M・ジェイコブズである。ジェイコブズは多数の体験者に対して催眠を含む長時間の聞き取りを行い、1990年代の著書で、アブダクションにはある程度決まった流れがあると主張した。
彼が集めた男性の証言では、台やベッドのような場所へ寝かされ、性器を刺激する器具を取り付けられたり、手や装置による刺激を受けたりして、精子を採取されたと感じるケースがあった。本人が性的な快感を覚える場合もあれば、感情とは関係なく身体だけが反応したと語る場合もあった。射精した後、その液体が容器や器具によって回収されたと説明する証言もある。
女性の証言では、脚を広げた状態で台に置かれ、女性器から細い器具を入れられたり、腹部や骨盤付近に何らかの処置を受けたりしたという話が多かった。卵巣から卵子を吸い出されたように感じたと話す女性もいた。さらに、いったん妊娠させられ、数週間あるいは数か月後に再び連れ去られて胎児を取り出されたという証言まで現れた。処置そのものは恐怖や痛みを伴ったという人もいれば、身体を動かすことができず、ただ見ているしかなかったという人もいる。
その先に登場するのが、いわゆる「ハイブリッド」である。体験者は後のアブダクションで、人間とも典型的なグレイ型宇宙人とも違う赤ん坊や子どもを見せられ、それを抱いたり、触れたりするよう求められたと語った。女性の場合には、その存在を見た瞬間に自分の子どもだと感じたという話もある。ジェイコブズはこれらをまとめ、宇宙人が人間の精子と卵子を利用して、人間と宇宙人の混血を作っているという説を唱えた。
ハーバード大学医学大学院の精神科医ジョン・E・マックも、同じような体験談を数多く聞き取っている。マックが紹介した男性の証言には、性器をこするような行為や器具によって精子を採られたというものがあり、女性からは卵子の採取や、妊娠に似た処置を受けたという話が寄せられた。その後、受精卵のようなものを女性の体へ戻し、別のアブダクションで胎児を取り出し、さらに後になって「あなたの子ども」に当たる存在を見せられるという一連の物語も報告されている。
マックのもとには、機械的な生殖処置だけでなく、宇宙人のような存在に強い性的魅力や愛情を感じたという証言もあった。恐怖だけではなく、性的な快感や親密さを感じたという体験者もいる。性的アブダクションという言葉からは一方的な被害のイメージが強いが、実際に集められた証言には、嫌悪や恐怖、無力感から、快感、愛着、さらには相手への恋愛感情のようなものまで、かなり幅がある。
ベッドの上で女性型の存在に襲われた――ピーター・コーリー事件
性的なアブダクションの中でも異色なのが、オーストラリアのピーター・コーリー事件である。1992年7月23日の朝、シドニーに住んでいたコーリーは、自宅のベッドで横になっていた。本人によれば、目を覚ますと裸の女性が二人、ベッドの上にいた。一人は非常に白い肌と金髪を持ち、大きな青い目、高い頬骨、細長い顔をしていた。もう一人は黒髪で、彼にはアジア系の女性のように見えたという。
金髪の女性はコーリーの体の上に乗るような位置におり、彼の頭を両手でつかんで、自分の胸へ引き寄せようとした。コーリーは抵抗したが、女性は非常に力が強く、何度も同じ動きを繰り返したと話している。三度目に強く引き寄せられた際、恐怖に駆られたコーリーは女性の乳首にかみついた。本人によれば、その一部をかみ切ってしまったように感じたが、血は出ず、女性も痛がる様子を見せなかった。口の中に入ったものをのどに詰まらせたようになり、激しくせき込んだという。その後、二人の女性は姿を消したとされる。
さらにコーリーは、体験後、自分の性器の周囲に非常に細い金髪が絡みついているのを見つけたと語った。この毛髪は保存され、後にオーストラリアのUFO研究家ビル・チョーカーへ渡されてDNA分析が行われた。チョーカーらはミトコンドリアDNAに珍しい特徴があるとして注目し、2005年には『Hair of the Alien』という本まで出版している。
しかし、分析で確認されたDNAそのものは人間由来だった。また、毛髪は事件直後に警察や研究機関が現場を封鎖して採取したものではなく、コーリー本人が自宅で見つけて保存していたものである。そのため、誰の毛なのか、いつ付着したのか、それ以前に他人の毛髪が混入していなかったのかを確認することはできない。事件後に実物らしき試料が残り、実際にDNA分析まで行われたという点では珍しいが、「宇宙人のDNAが発見された」ことを示す証拠にはなっていない。
恐怖は本物だった――体験者の身体反応を調べた実験
こうした証言を、単に「嘘か本当か」で分けるのではなく、本人の心や身体では何が起きているのかを調べた研究もある。ハーバード大学の心理学者リチャード・マクナリー、スーザン・クランシーらは、宇宙人にさらわれたと信じている10人を対象に、本人の体験を文章にして録音し、それを聞かせながら身体の反応を測定した。測ったのは心拍数、皮膚の発汗によって変化する皮膚電気反応、額の筋肉の緊張などである。比較のため、本人にとってストレスの強い別の出来事、楽しかった出来事、中立的な出来事についての録音も聞かせた。さらに、アブダクション経験のない対照群にも同じ文章を聞かせている。
その結果、アブダクション体験者は、自分の「宇宙人にさらわれた記憶」を聞くと、対照群より強い身体反応を示した。この反応の大きさは、過去に実際のトラウマを経験した人がその記憶を思い出すときに見られるものに近かった。つまり、この実験から「宇宙人にさらわれたこと」が証明されたわけではないが、少なくとも本人たちは、自分の体験を単なる作り話として語っているのではなく、本当に恐ろしい出来事の記憶として受け止めていることが分かる。
この違いは重要である。人が強くおびえ、心拍が上がり、汗をかくからといって、その記憶の内容まで事実とは限らない。悪夢や誤った記憶でも、人間の身体は本物の恐怖に近い反応を示すことがある。したがって、アブダクション体験者の苦痛が本物であることと、その原因が地球外生命だったことは別々に考える必要がある。
「存在しなかった言葉」まで思い出した――虚偽記憶の実験
クランシーらは別の研究で、アブダクション体験者の記憶そのものにも注目した。実験では、宇宙人にさらわれたという記憶を後から取り戻した人、さらわれたと思っているが具体的な記憶はない人、アブダクション経験を否定する人の3群を比較した。そして、それぞれに意味の近い単語をまとめて見せた後、どの単語を覚えているかを調べる「DRM課題」と呼ばれる記憶実験を行った。
たとえば、ある一つの言葉を直接は見せず、それを連想しやすい複数の言葉だけを先に見せる。すると、人は実際には提示されていない中心的な言葉まで「さっき見た」と思い込むことがある。アブダクション記憶を後から取り戻したとする人々では、このような「存在しなかった情報を思い出す」反応が対照群より多かった。興味深いのは、実際に提示された単語を正しく覚える成績には、グループ間で大きな差がなかったことである。つまり、単純に記憶力が悪いという話ではなく、本物の記憶に関連情報を付け加えてしまう傾向に違いがあった。
ただし、この実験だけで個々のアブダクション証言が虚偽記憶だと判定できるわけではない。実験室で単語を誤って思い出しやすかったことから、何十年前の複雑な人生経験まで同じ仕組みで作られたと直接証明することはできない。それでも、アブダクション研究で催眠によって「失われた記憶」を取り戻す方法が多用されてきたことを考えると、無視できない結果だった。
催眠は「忘れた記憶」を正確に再生する装置ではない
ホプキンスやジェイコブズが集めた詳しい性的アブダクション証言の多くでは、催眠が重要な役割を果たしていた。体験者は最初から「宇宙人に卵子を取られた」「精子を採られた」と覚えていたとは限らない。最初は、夜中に突然目を覚ました、数時間の記憶がない、妙な光を見た、理由の分からない恐怖がある、といった断片的な記憶だけを持っており、催眠セッションを繰り返すなかで、宇宙船内部や診察台、器具、生殖に関する処置などを詳しく語るようになった例がある。
しかし、心理学の研究では、催眠は脳の中に保存された過去の映像をそのまま再生する方法ではない。1998年にケベルとワグスタッフがまとめた法心理学研究では、催眠を使うと証言量が増える場合がある一方、その増えた情報には誤りも含まれやすく、誤った情報への自信まで強まることが指摘された。また、誘導的な質問や、出来事の後から与えられた誤情報の影響も受けやすくなる。
この問題はその後の研究でも変わっていない。2025年に発表された催眠と記憶研究のレビューでは、過去の実験を振り返った結果、催眠によって正確な記憶だけが増えた研究は確認されず、逆に実際には経験していない出来事を思い出すケースが複数の研究で増えていたと整理されている。しかも、一度作られた記憶は後まで残り、本人がかなり強い自信を持つ場合があった。
これは「催眠を受けた人は何でも信じ込む」という単純な話ではない。催眠への反応には大きな個人差があり、誰もが同じように暗示を受けるわけでもない。現在の催眠研究でも、暗示に対する反応には認知的な要因だけでなく、期待、社会的状況、注意の向け方など複数の要素が関係すると考えられている。
問題は、UFO研究者自身が「宇宙人に何かをされたのではないか」という仮説を持った状態で質問し、体験者もアブダクションに関する本や映像を知っている場合である。「そのとき何か器具が見えませんでしたか」「身体のどこを触られましたか」と細部を繰り返し探していけば、最初は曖昧だった記憶が次第に具体化する可能性がある。その具体的な記憶が本人には非常にリアルに感じられるからこそ、後になって元の記憶とセッション中に生まれた情報を区別することも難しくなる。
金縛りの最中に「誰かに触られる」ことがある
もう一つ、アブダクション研究で重要視されているのが睡眠麻痺、いわゆる金縛りである。睡眠中、とくに夢を多く見るREM睡眠では、夢の内容に合わせて現実の身体まで動かないよう筋肉の動きが強く抑えられている。通常は目覚めるとこの状態も終わるが、意識だけが先に目覚めると、「頭は起きているのに体が動かない」という状態になる。
このとき、夢の一部が覚醒後まで残ることがある。実際には誰もいないのに、部屋に人影が見える、誰かがそばに立っている、胸を押さえつけられている、身体を触られている、ベッドから浮き上がる、といった感覚が生じることがある。非常に現実感が強く、完全に目を覚ましていると思っている本人にとっては、普通の夢とは感じられない。
マクナリーとクランシーは、宇宙人によるアブダクションを報告した10人について調べ、彼らの体験の一部が睡眠麻痺と、目覚め際に起こる幻覚に結びついていたと報告している。本人たちは「動けない」「寝室に何者かがいる」といった体験を、宇宙人の存在として解釈していた。研究者たちは、金縛りそのものがアブダクションのすべてを説明するとはしていないが、少なくとも一部のケースでは、体験の出発点になり得ると考えた。
性的なアブダクションとのつながりも考えやすい。睡眠麻痺では触覚的な幻覚が起こることがあり、「誰かに体を押さえられている」「身体の一部を触られている」と感じる場合がある。そこに宇宙人についての知識や強い恐怖が加わり、後になって催眠などで記憶を詳しく探れば、最初は「動けず、何者かに触られた」というだけだった経験が、「宇宙船で診察台に固定され、性器に器具を入れられた」という具体的な物語へ発展する可能性はある。
ただし、ヴィラス=ボアス事件のように屋外で起きたとされる話や、日中の完全覚醒時に起きたと主張される事件まで、金縛りだけで説明することはできない。睡眠麻痺は性的アブダクション全体を説明する万能の答えではなく、多数ある証言のうち、特に寝室で始まるタイプを理解するための一つの手がかりである。
詳しい証言は残ったが、身体的な証拠は残らなかった
性的アブダクションの歴史を振り返ると、不思議な特徴が見えてくる。1957年のヴィラス=ボアスは異星人との性交を語り、1980年代以降になると、卵子や精子の採取、人工授精、胎児の回収、さらにはハイブリッドの子どもという複雑な物語が現れた。体験者の中には何十年たっても自分の記憶を事実だと考え、強い恐怖や悲しみを抱き続けている人もいる。
一方、科学的な検証からは別の姿が見える。アブダクション記憶を語る人が実際に強い身体的な恐怖反応を示すことは確認されたが、それは記憶の内容そのものが事実であることを意味しない。虚偽記憶の実験では、アブダクション記憶を取り戻した人々が、実際には提示されていない情報を「見た」と記憶する傾向も示された。催眠は忘れた出来事を正確に再生する方法ではなく、誤った記憶とその記憶への強い確信を生む場合があることも、長年の研究で確かめられている。
それでも、男性から精子を採取した、女性から卵子を取り出した、宇宙人との性交によって妊娠した、胎児を回収した、人間と宇宙人の間に生まれた子どもを育てている――そうした出来事を医学的に確認した査読研究は現在までない。ピーター・コーリー事件の毛髪のように物質が分析された例はあるが、それも異星生命のものとは確認されなかった。
結局、性的アブダクションについて最も確実に残っているのは、宇宙人の身体や生殖細胞ではなく、「自分の身体に何かをされた」という人間側の非常に強い記憶である。その記憶がどこまで実際の出来事を反映し、どこから睡眠中の感覚、恐怖、既存のUFO物語、質問者からの暗示、記憶の再構成が入り込んでいるのか。宇宙人の存在を証明する研究というより、強烈な体験を人間の脳がどのように「現実の記憶」として作り上げるのかという問題として、アブダクション研究は現在も興味深い題材を残している。
出典
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