女子が一人も生まれなかった村の謎! 違法な堕胎か、偶然の一致か?

女子が一人も生まれなかった村の謎! 違法な堕胎か、偶然の一致か? 文化

日本ではかつて、「間引き」と呼ばれる子殺しが盛んだった。妊娠が発覚した時点や分娩が起こった直後に子供の命を奪うのである。食糧が乏しい時代には間引きが一般的で、このことが罪に問われることもなかった。

現代の日本では、胎児や赤ん坊も人間として扱われるため、子殺しは禁じられている。しかし、海外に目を向けると、今でも子殺しの慣習が残っているとされる国や地域がある。

3か月間で女子が1人も生まれなかった村

2019年の3か月間、インド・ウッタラーカンド州ウッタルカシ地方にある132の村で生まれた216人の赤ん坊はすべて男子だった。

当局によると、女子が1人も生まれなかったのは「偶然の一致」だったという。しかし、女性の権利向上を求める活動家らは、女性の胎児が堕胎されて殺されていると訴える。

女性の胎児の堕胎は「女子殺し(female foeticide)」と呼ばれる。女子殺しとは、超音波スキャンなどによる性別判定検査の後、出生前に母親の子宮から女性の胎児を取り出す中絶のプロセスである。

女子殺しは1994年以来違法とされている。しかし、男性が女性よりも優れているという意識の根強い国の一部では、性別による堕胎が依然として蔓延しているといわれる。

2019年のデータの発表後、132の村は「レッドゾーン」の一部としてマークされてきた。そのため、女子殺しが行われた可能性が綿密に調査された。当時、同地域の治安判事であるアシシュ・チャウハン氏はデータを軽視し、女子が生まれなかったのは単なる「偶然の一致」で、「まったく心配していない」と述べた。

一方、活動家らは「偶然の一致」を信用していない。ソーシャルワーカーのカルパナ・サークァ氏は「これらの村で3か月間、女子は生まれませんでした。単なる偶然ではありません。これは明らかに、女子殺しがその地区で起こっていることを示しています。政府と当局は何もしていません」と主張する。

幼い女子をネグレクトする性差別の実態

何年にもわたって、女子殺しに反対するキャンペーンが展開されてきた。それでも、いくつかの地域で女子殺しが行われていることをデータが示唆している。

2020年、国連人口基金は、出生前と出生後の性選択の風習によって、4,580万人近くの女性がインドの人口統計で「行方不明」になっていると発表した。胎児が男子でなかったために中絶薬を無理やり飲まされた女性がいるという報告もある。

2016年には、インドにおける女子殺しに対して、「イスラム教は我々に娘を大切に育てるように命じた」という内容のファトワー(イスラム法)が発令された。その翌年、マハーラーシュトラ州警察は、病院の近くで中絶された女性の胎児19人分を発見した。

インドの一部地域では、特に食糧、栄養、健康に関して、幼い女子に対する意図的なネグレクトも蔓延しているといわれる。幼い女子の死亡率が男子よりもはるかに高いからである。2007年のユニセフの報告によると、5歳未満の女子の死亡率は同じ年齢の男子よりも40%高かった。

男女差別の根拠となる「家父長制」の伝統

活動家らは、女子殺しの背景には、インド社会全体に蔓延する「家父長制」の問題があると指摘する。

インドでは男子は名声の象徴である。男子は、十分なお金を稼いで家族を発展させ、最後まで両親の世話をすることができると存在とされる。一方、女子は、義理の家族のもとへ嫁ぐため、彼女の結婚後に彼女の両親の家族は衰退し、彼女の両親の世話をする人は誰もいなくなると考えられている。そのため、両親は男子が生まれるまで、何度も妊娠し、女子殺しを行うことも厭わない。

また、女子の両親は、娘が生まれた瞬間から結婚の計画を立て始める。両親は、娘の教育や生活のためではなく、結婚のためにものやお金を蓄える。というのも、結婚に際しては、新婦の家族が新郎の家族に持参金(ダヘーズ)を送らなければならないからである。持参金が不十分だと、結婚した女性は義理の家族から虐待や嫌がらせを受け、場合によっては殺されることもある。

こうした家父長制の伝統が根強いインドでは、女子殺しだけでなく、セクシャルハラスメント、アシッドアタック、ドメスティックバイオレンス、レイプなど、女性に対する暴力や犯罪が頻発している。

女性に対する教育も不十分で、多くの女性は学歴も職歴も貧弱である。女性は家事だけをしていればよいと考えられているからである。

女性、特に思春期を過ぎたばかりの若い女性は結婚を迫られ、児童婚として問題視される。また、女性の数が減少する一方で結婚適齢期の男性の数が増加しているため、多くの地域では女性が違法な人身売買の犠牲者となっている。誘拐されたり、両親によって売られたりする女性が後を絶たない。

著しい経済成長が注目されるインドだが、男女平等がスタンダードとなりつつある世界経済の中で、女性を虐げる伝統や慣習が足かせになっている。

参考:The Daily StarLegal Service India、ほか

トップ画像:Pixabay

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