ネット上では、テキストメッセージのやり取り中心で匿名性が高いことを利用して、さまざまな目的から男性が女性のふりをして活動する。彼らは「ネカマ」と呼ばれる。男性ユーザーに金品を貢がせようとするネカマも少なくない。
英ロンドンでは、オンラインのチャットルームでおむつ姿の幼児の画像を収集していたネカマが逮捕されて起訴された。ローカルメディア「MyLondon」が報じた。
おむつ姿の幼児の画像を収集していたネカマ
英ロンドン南西部キングストン・アポン・テムズ王室特別区に住む男性、ゲイリー・ニール(33)は、オンラインのチャットルームで女性のふりをして他の女性ユーザーと交流し、おむつを履いた状態でおもらしをした5~7歳の幼児たちの画像を送るよう依頼していた。
警察は、ニールが「ベッキー・リン」という偽名と「foreverinnappies」「diapergirls」を含むメールアドレスを用いて、他の女性ユーザーから幼児の画像を収集しているのを発見した。画像はオンライン上で保存され、その多くは子供たちの名前で分類されていた。
キングストン王立裁判所は2022年7月13日、ニールが卑猥な画像を作成したとして3件の有罪判決を下し、6か月の執行猶予付きの懲役刑を言い渡した。ニールは性的危害防止命令の対象となり、7年間性犯罪者として登録され、所有していた幼児のすべての画像と動画を破棄しなければならない。
エイジプレイへの興味から発症した強迫性障害
ニールの弁護士であるフランチェスカ・ラヴェット氏は、ニールは幼児に性的関心を持っているわけではなく、おむつ姿の幼児に対するフェチがあると主張する。ニールは、エイジプレイに興味を持っていて、そのことが原因で強迫性障害(OCD)にかかっていたという。
エイジプレイとは、成人が赤ん坊のように扱われることを通して、性的欲求を充足したり、ストレスを解消したりするプレイである。日本では一般的に「赤ちゃんプレイ」として知られる。
OCDは、強い不安や恐怖、こだわりなどが原因で、特定の行動を執拗に繰り返して、日常生活に支障をきたしている状態である。本人はその行動を「つまらない」「やらなくてよい」と理解しているにもかかわらず、どうしてもやめられない。血が出るほど手を洗ったり、家に鍵をかけたかどうかが常に気になったりするのが典型である。
ニールは、おむつ姿の幼児に対するフェチは、児童虐待に関する報告を検討するコンテンツマネージャーの仕事によって引き起こされたと主張する。ラヴェット氏は法廷で次のように述べた。
「彼はコンテンツマネージャーとしてレポートの編集を行っていました。……オンラインでの児童虐待に関するレポートを確認する必要がありました。その一環として、彼はメンタルヘルスサポートを受ける予定でしたが、残念ながら受けられませんでした。
それ以来、苦痛を伴うイメージが彼の中でフラッシュバックするようになりました。彼はそれが何かを意味するのではないかと心配していました。彼は気を紛らわそうとしますが、それらに対する考えがどうしても頭に浮かびました。それがとても鬱陶しかったので、彼はおむつを履いている10代の子供の画像を見て安心しました。彼は彼らに性的満足を得ていたわけではありません」
犯罪の動機は子供への性的関心かOCDか?
ニールは、法廷を訪れた妻に相談し、反児童性的虐待の慈善団体「ルーシーフェイスフル財団」に助けを求めた。財団はニールにOCDの可能性があるので、公式の診断を受けた方がよいとアドバイスした。後にニールは診断を受けた。ラヴェット氏は次のように説明する。
「OCDの診断結果と犯罪がどのように引き起こされたかを考慮し、画像の大部分はみだらではない性質のものであったことから、性的満足を目的としてはいなかったというのが私の意見です。……非常に珍しい状況ですが、彼は子供に性的関心を持っていない非常に珍しい被告の1人です。エイジプレイに興味があるだけです。これは本質的に性的逸脱ではありません。彼は、逸脱者ではなく、体調不良の男性です」
一方、警察は、ニールが所持していた画像のうち67枚は、性器や玩具などの挿入を伴う性的行為を含む「カテゴリーA」に該当するとした。214枚の画像と112本の動画が性器や玩具などの挿入を伴わない性的行為を含む「カテゴリーB」に、61枚の画像と353本の動画がみだらな「カテゴリーC」に該当するとした。
検察官のケイティ・ドハーティ氏は、みだらとはいえないが、おむつを履いたあらゆる年齢の子供たちが排便や排尿をしている様子を撮影した何千もの資料が他にもあることを確認したという。
ラヴェット氏は、ニールは羞恥心と後悔の気持ちを示したこと、警察に協力的だったこと、そして自らOCDの治療を求めたことを指摘した。しかし、アン・ブラウン裁判官は「誰がどのようにそれ(ニールの所持していた画像など)を見たとしても、害はまだあると考えるだろう」と述べて弁護側の主張を退けた。
子供を持つ女性は、相手が誰であっても、自分の子供の好ましくない姿を撮影した画像や動画を提供してはならない。これらの画像などがネット上に半永久的に残ることになれば、子供の将来に悪影響を及ぼしかねないからである。特に、顔の見えない相手とのやり取りを前提としたSNSやチャットルームなどでは細心の注意が必要である。
参考:MyLondon、ほか
トップ画像:Pixabay