再生医療で勃起不全を治療する! 性生活を改善して男性の悩みを解決

再生医療で勃起不全を治療する! 性生活改善で男性の悩みを解決する 科学

男性にとって勃起不全(勃起障害、ED)は深刻な問題である。性行為中に勃起できず、もしくは途中で萎えてしまうため、パートナーに快感を与えられないだけでなく、男性としての自信も失うことになりかねない。

現在、勃起不全の治療法としては、経口薬であるPED5阻害剤薬(バイアグラなど)の使用が一般的である。しかし、再生医療が新たな治療法として注目されている。

勃起不全の原因と一般的な治療法

勃起不全は、性行為中に勃起できず、もしくは途中で萎えてしまうため、性行為を満足に行なえない状態である。患者とパートナーの双方の生活の質に悪影響を与える。

一般的には、40〜80歳の男性の約30〜65%が勃起不全だとされる。2025年までに、世界中で3億2200万人もの男性が勃起不全で苦しむことになると推定される。

性欲低下の原因にもなる勃起不全は、心血管疾患や代謝性疾患、神経疾患が原因とされる。過度のアルコール摂取、喫煙、特定の薬の使用も勃起不全を引き起こす可能性が指摘される。これらの身体的要因に加えて、ストレス、不安、うつ病、人間関係の問題など特定の心理的要因によっても勃起不全となる。

勃起不全の一般的な治療法は、PED5阻害剤薬(バイアグラなど)の経口投与である。症状が重い場合は、海綿体に薬剤を直接注射するICI療法(陰茎海綿体注射療法)や、陰茎海綿体内に陰茎プロステーシス(インプラント)を移植する陰茎プロステーシス移植手術などが行われる。しかし、これらの治療法は高額で、手術に伴う合併症や副作用のリスクがある。

再生医療を利用した勃起不全の治療法

再生医療を利用した勃起不全の治療法は、損傷した神経や筋肉を再生し、成長因子(特定の細胞の細胞分裂を促進するタンパク質)を調節することで、勃起機能を回復させることを目的とする。

再生医療を利用した勃起不全の治療法には次の3種類がある。

  • PRP注射治療…患者の血液から採取した多血小板血漿(PRP)を患部に注射する。
  • 体外衝撃波治療…衝撃波を皮膚の上から患部に照射する。
  • 幹細胞治療…脂肪や骨髄などから採取された幹細胞を患部に移植する。

PRP注射治療

PRPには、通常の血漿の4倍の血小板と、血管内皮増殖因子や表皮成長因子などのさまざまな成長因子が含まれる。これらの成長因子は、内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)経路を介して勃起機能を改善することが知られている。

PRPの海綿体内注射では、患者の40%で陰茎にあざが生じたことを除き、大きな副作用がなく、勃起不全を適度に改善するという研究結果が出ている。

体外衝撃波治療

体外衝撃波治療は、刺激によって新しい神経や血管の形成を促進することで勃起不全を改善する。衝撃波は動力源(電気油圧式、電磁式、圧電式)を使用して発生させる。

体外衝撃波治療の動物実験では、細動脈、毛細血管、細静脈部分の循環である微小循環が改善され、前駆細胞と幹細胞が再生され、血管が拡張して血中一酸化窒素レベルが増加し、神経再生を引き起こすことで勃起機能が改善するという結果を得られた。

ヒトの臨床試験では、体外衝撃波治療が、ホスホジエステラーゼ5型阻害剤では改善されない軽度~重度の勃起不全患者について、勃起機能が改善することが判明している。一方で、治療効果がないことを示す試験結果もある。

幹細胞治療

幹細胞は、分裂して自分と同じ細胞を作り、別の種類の細胞に分化していく細胞である。アンチエイジングの領域でも注目されている。

現在、幹細胞は勃起不全を治療するための有効な選択肢となっている。脂肪や骨髄から採取された間葉系幹細胞(MSC)は、成長因子に加えて、細胞の組織内移動を制御するケモカインと、細胞間の情報伝達を担うサイトカインを放出することで、組織の再生を促進する。

臍帯血由来の幹細胞とホスホジエステラーゼ5型阻害剤を合わせて使用する治療法では、勃起機能、特に朝勃ちを改善することが判明している。脂肪組織由来幹細胞と血小板溶解物の併用治療後にも同様の効果が観察された。

脂肪組織由来の幹細胞による治療を受けた患者に、勃起機能の長期的な改善が見られた。6か月の治療後、患者は経口薬を使用せずに性交を達成できた。

再生医療による勃起不全治療の可能性

胎盤の羊膜表層から採取されるヒト羊膜細胞は、成長因子やサイトカインなどを豊富に含む。現在、ヒト羊膜細胞は勃起不全の新しい治療法として注目されている。ヒトの臨床試験の結果は、ヒト羊膜細胞を利用した治療が勃起機能の早期回復に有益である一方で、治療効果は長続きしないことを示した。

将来は、再生医療のさらなる発展によって、勃起不全を根本的に治療できるようになるのかもしれない。

参考:Medical News、ほか

トップ画像:Pixabay

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