バッタの大群が農作物を食べ尽くす! 蝗害で東アフリカが食糧不足に

バッタの大群が農作物を食べ尽くす! 蝗害で東アフリカが食糧不足に 科学

バッタが大量発生して農作物などを食べ尽くす現象は「蝗害(こうがい)」と呼ばれる。「蝗」はイナゴを表す漢字だが、実際に蝗害を引き起こすのはイナゴではなく、トノサマバッタやサバクトビバッタなどの別の種である。日本では馴染みの薄い蝗害だが、アフリカ大陸では深刻な問題となっている。

東アフリカを襲うサバクトビバッタ

東アフリカでは、11~12月の雨季前になると、人々はバッタの大量発生を懸念し始める。農家は農作物を植える準備をしていても、それらを食い尽くすバッタがどんどん孵化していくからだ。ナミビアやボツワナ、ジンバブエ、ザンビア、そして最近ではアンゴラが既に蝗害の影響を受けていて、生計を立てられない農民や牧畜民が増えている。

蝗害を引き起こすバッタはサバクトビバッタだ。国連食糧農業機関(FAO)によると、サバクトビバッタは1平方キロメートルあたり8000万匹にもなる群れで移動するという。群れの大きさ1平方キロメートル未満から数百平方キロメートルまでさまざまである。

サバクトビバッタは、天候や地域の状況にもよるが、最長で5か月間生きることができる。卵は約2週間で孵化し、平均して2~4か月で成虫となる。そして、何の障害もなければ、最終的には500倍の数にまで増える可能性があるという。

FAOの作物生産責任者、マシュー・アバン氏は、ザンビアだけでも、サバクトビバッタは既に約30万ヘクタールに被害を及ぼしていると語る。また、南部アフリカ開発共同体(SADC)は、蝗害によって4500万人が食糧不足に直面している可能性があると報告した。

殺虫剤を確保できない国々の惨状

蝗害によってジンバブエにおける人道危機がさらに悪化する可能性がある。同国は2年間の長い干ばつで経済は停滞しているが、以前は被害を受けていなかった南部や西部でも蝗害が発生したため、更に深刻な事態に陥っている。農業省は十分な殺虫剤を確保できていないのが現状である。隣接するザンビアでも蝗害が急増中だ。FAOはバッタの群れを殺虫剤で抑える目的で技術と資金を利用できるようにしたが、殺虫剤の確保は依然として大きな課題となっている。

殺虫剤が必要なのはナミビアも同様である。アフリカ南部の国々のほとんどは同じ供給業者から殺虫剤を購入しているが、配達が遅れていて入手できていない。特に同国東部のカバンゴ州とザンベジ州では、殺虫剤が到着しないと農作物が全滅するリスクがあるという。

殺虫剤を噴霧するように改造されたピックアップトラックは、バッタの被害を食い止めるのに効果的だが、供給が間に合っていない。他の有効な手段としては、バッタの群れを早期に発見して駆除することである。これには、農民が遠隔地の農村地域からの観察を素早く共有し、行動を起こすことができる集中型システムの開発が必要である。しかし、FAO加盟国の政府は蝗害が発生するまで問題を先送りにし、さらには監視を強化するための資金すら用意できていない。蝗害を撲滅するため、国境を越えた地域協力が求められている。

気候変動の影響で蝗害の予測が困難に

オレゴン州立大学の非常勤講師で、米国国際開発庁と米国農務省外国農業サービスの契約社員でもあるポール・ジェプソン氏は、アフリカでバッタとツマジロクサガメの群れの管理に携わってきて、現在は管理を支援するチームと協働している。ジェプソン氏によると、蝗害は歴史上何度も発生してきたが、東アフリカでは40年近くも発生していなかったという。しかし、2018年に乾燥地帯に大雨が降ったことで植物が成長し、そこにバッタが大量発生したのだ。

現在は気候変動の影響でバッタの群れがどこで発生してどこに移動するかを予測しにくくなったため、過去の事例から管理の方法を考えるのが困難になった。そうした中、バッタの駆除について、バッタに特有の真菌性疾患の胞子を噴霧することを化学農薬の代わりとして提案する。人間に無害なこの病気は、バッタの群れの中で感染拡大し、かなり多くの個体を死滅させることが期待されるという。

もっとも、ジェプソン氏は「すべてを管理し、起こりうる最悪の事態を予測して防止する私たちの能力には限度があります」と述べる。その上で、東アフリカの農業を持続的に支援していくことの重要性を訴える。

多くの日本人は、アフリカ大陸で起こっている蝗害に無関心である。しかし、アフリカ諸国からの輸入が増えている近年、遠い国々での混乱が日本にも少なからぬ影響を及ぼす可能性があることは意識しておくべきだろう。

参考:DWThe Corvallis Advocate

トップ画像:Flickr

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